特殊清掃 その②
ここからは事例に基づいて解説を試みたいと思います。
想定する事案は、以下の通りとします。
・お部屋のタイプは1DK洋室タイプ(フローリング)の賃貸アパート
・孤独死案件で死亡場所はベット上
・体液、血液などの付着、浸透あり(寝具、ベット、フローリング)
・強い腐乱臭あり
ご遺族様からご連絡をいただき、賃貸アパートの為、「生活用品・家財などはすべて処分の上、 清掃などを済ませお部屋を解約したい」というご依頼をお受けしたと仮定します。
こうした場合、弊社で行う作業手順は次の通りです。
①特殊清掃
②生活用品・家財道具の撤去処分(遺品整理)
③消臭・消毒施工
順を追って詳しく説明してまいります。
まず第一段階で「死亡場所の清掃・消毒、および体液等付着物の回収処分」を行います。
弊社ではこの作業を「特殊清掃」と定義しています。 この事案の場合、体液などが付着した寝具やベット・生活用品の一部が回収処分の対象となります。 床に体液・血液などがしみている場合、清掃・消毒・養生で対応し、この段階では剥がしたりはいたしません。 臭気の発生源を回収し、清掃・消毒を済ませた後は、これ以上強い臭気が出続けてしまうことはありませんが、 臭気が付着した生活用品や家財が大部分残されている状態ですので、強い臭気が消えてしまうわけではありません。とはいえ、足を踏み入れることを躊躇してしまうほどの状況は改善されておりますので、 ご遺族様が故人様のご遺品を確認したい、大切なものを探したいとご希望される場合は、 ①特殊清掃が終了した段階で、お部屋の確認をしていただけます。 (もちろんご希望であれば①が終了していなくても、お部屋を確認するのはご遺族様の自由です。)
「特殊清掃」を終えたのち、第二段階として②生活用品・家財道具の撤去処分(遺品整理)が行われます。 強い臭気にさらされたものには、臭気が付着しており、そのままにしておいた状態で消臭施工を行ったとしても 必ず臭気がぶり返してしまう為、まず、居室内の全てのものを搬出処分いたします。 紙類・布類(衣類)・木などは臭気を吸収しやすく、抜けにくい為、一部例外的にリサイクル・買取をされる 場合もありますが、ほとんどのものは処分対象となると思います。
②生活用品・家財道具の撤去処分(遺品整理)がおこなわれ、居室内が空の状態になった段階で ③消臭・消毒施工が行われます。この事例の場合、床に体液・血液等がしみ込んでいるようであれば、 当該箇所を剥がし取り除きます。その下までしみ込んでいる部分があれば切り取って除去します(コンパネや根太、パーチクルボードなど)。 また、臭気が強く剥がすことが必要と判断した場合は、クロス・CFなども除去の対象となります。 強い臭気が付着した除去できるものを除去したのち、消臭・消毒液使用したを丁寧な清掃を施し、さらに 消臭剤散布またはオゾン脱臭を実施します。 状況に応じて数日間の換気管理を行いながら、2次・3次の消臭剤散布等を実施します。
以上、③の消臭・消毒施工を終えて、ご依頼者様に状態を確認していただき、お引渡しとなります。
ご遺族様と、大家さんの話し合いにより、③は行わず①と②の作業だけ承る場合もあれば、 とりあえず①のみ依頼される場合もありますが、たいていの場合①~③まで一括でご依頼いただくことが多いです。
さて、ここまで事案に基づいて作業を順番に見てまいりました。 ここまでの作業手順を踏まえて、「特殊清掃」の何があいまいで、どこに混乱をきたす要因があるのか 少し考えてみようと思います。
が、長くなりそうですので、次回の記事でまとめてみたいと思います。
ここまでお読みいただきましてありがとうございました。